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仙台発のヴィジュアル系バンドが環境啓発!?「日本一おもしろい」ヴィジュアル系バンドJin-Machine(ジンマシーン)


仙台市環境局では、ポスターや動画、SNSなどを使ってごみ減量などに関わる啓発をしている。環境問題に対して問題意識を持ち熱心に取り組んでいる方々もたくさんいるが、全く興味がない方々もまた多いように感じる。そんな中、音楽に乗せ、新たな手法で環境啓発をするバンドが存在する。その名も「Jin-Machine(ジンマシーン)」。彼らは仙台発のヴィジュアル系バンドであり、現在は東京を拠点に全国各地で勢力的に活動している。
仙台発のヴィジュアル系バンド「Jin-Machine」とは?
Jin-Machineは2006年結成。2011年に本格始動。何度かメンバーチェンジを経て、現在は正規メンバー2人にサポートメンバーを加えて活動している。「世界初のプログレッシブヴィジュアル系コミックバンド」「日本一おもしろいヴィジュアル系バンド」を名乗り、社会問題や時事ネタをコミカルに歌い上げるキャッチ―な曲から、技術に裏打ちされた音楽性の高さが垣間見える激しいメタル曲まで幅広い楽曲が特徴だ。全国で勢力的にミサ(ライブの事)を開催しており、フリップ芸やコントを融合したライブパフォーマンスは長年、平民(Jin-Machineのファンの総称)に愛されている。
Jin-Machineは、ごみ・リサイクル・環境問題を主題にしたアルバムを複数リリースし続けている。
例えば、エネルギー問題からペットボトルの不法投棄まで、環境破壊の現状をフリップ芸を交えてシャウトする代表曲「環境デストロイ」(『捨てました。』(2012年)に収録)や、「SDGs」への率直な「謎」を、彼らなりの解釈で歌いあげた曲などを収録した『Lse secrets des ODD』(2022年)※1など、環境問題や社会正義を案外真面目に取り扱いながらも、どこか責められている感や押しつけがましさを感じさせない、愛嬌とユーモアにあふれる名曲の数々である。
※Lse secrets des ODD
フランス語でGoogle翻訳してみると、「SDGsの謎」となる
今回は、Jin-Machineヴォーカルであり、作詞担当、お笑い芸人でもあるfeaturing16(フィーチャリングイチロー)さんとのコンタクトに成功。これらの楽曲の誕生の秘密を中心にお話を伺った。


―ヴィジュアル系バンドを始めたきっかけはなんですか?
(16さん)
「最初は、仙台のティーライズという芸能事務所でお笑い芸人としてデビューしました。当時、事務所にバンドをしているスタッフがいて、誘われて始めました。「Jin-Machine」というバンド名は、なんか強そうに聞こえるということでつけました。2005年あたりからお笑いと両立しながら仙台で活動を始め、2011年ころから拠点を東京に移しバンドとして本格始動しました。」

SDGsや環境問題を題材にする楽曲について
―Jin-Machineの曲には様々なジャンルの曲がありますが、SDGs、環境問題について歌おうと思った動機はありますか?
(16さん)
「ODDに関していえば、メロスピ(メロディクスピードメタル)というメタルのジャンルの曲を作りたいと思っていました。かつその時に興味があったテーマが「SDGs」でした。メロスピとSDGsって感覚的に対局なものだと思うので、その二つを掛け合わせたら面白いかなと思って作りました。」

―SDGsというテーマに興味を持ったきっかけは何ですか?
(16さん)
「世間からSDGsという言葉をすごく聞くようになったからです。それどういう意味?と思って調べてみたのですが、具体的な取り組みって書いてなくて、じゃあどうすりゃいいのさ!という思いがあって、自分なりにさらに調べ、考えたところ、SDGsとは「一人一人が違うことを認める」ということではないかというとこにたどり着きました。」
―16さんの考える「SDGsとは一人一人が違うことを認めること」という結論に至った経緯があれば教えてください。
(16さん)
「SDGsって何か聞いたことあるけど、調べていくうちに「一人一人が日常生活の中でできることをできる範囲でやっていくこと」だと思いました。たとえばちょっと遠いけど歩けそうな距離は車を使わず歩く、ごみはできるだけ分別するなど、これが正解だというものはなくていいと思います。そのような考えに至ったので、「一人一人が違うことを認めること」という結論に至りました。」
―Jin-Machineの楽曲は、環境問題に関するテーマを扱っていますが、作詞をする上で気を付けていることはありますか?
(16さん)
「自分たちは第一にコミックバンドであり、自分自身はお笑い芸人でもあるので、自分たちのやること言うことは人に強要するものじゃないと考えています。これはこうなんだ!というより、自分たちはこう思うけどみんなはどう?というような意味合いが歌詞に出ているのではないかなと思います。曲の題材を考えるとき、社会問題を取り上げることが多くあるのは、みなさんがある程度知っていることだからです。でも知っているけど、詳しくはわからないものを調べて歌を通して聴いてもらうことで興味を持ってもらえるのではないかと思います。」
―「環境デストロイ」という曲が作られた経緯を教えてください。
(16さん)
「「環境デストロイ」はバンド本格始動前からやっている古い曲なんですけど、もとは「めくりネタ(フリップネタ)」がやりたい。メタル曲をやりたいという思いがあって、何をテーマに歌うかと考えたときに当時から重い問題だった環境問題が浮かびました。」
― 環境問題が先ではなく、フリップネタが始まりだったのですね(笑)
しかし、歌詞の内容が「環境デストロイ」から『ODD』に至るまでに問題意識がより具体的になっていると感じました。2005年の環境デストロイと、2022年の『ODD』制作で、世の中の環境問題に対する意識の変化は何かありますか?
(16さん)
「まず、環境問題に対する世間のとらえ方が変わってきたと感じています。私も「環境デストロイ」を作った2005年当時は表面的な問題を歌詞に書いていた気がします。でも、今はごみ問題、リサイクルっていうことは当たり前なことになったので、その意識の差はあると思います。昔はペットボトル洗うの煩わしいわ!って思っていたけど、今は当たり前にやっているので、そういうところの意識の変化ですね。「環境デストロイ」を作った時は「なんかやばくね?」くらいに思っていたことが今では実際に「俺たちのみんなの生活がやばい」になっていますよね。」
―おっしゃる通り世間の意識も変わってきていると感じます。それでは、16さんが普段の生活で環境に配慮している行動はありますか?
(16さん)
「私たちはよく関東や関西のライブハウスに出演することがあるのですが、運転する機材車のエンジンの回転数を気にするようになりました。一番はガソリン代が高くなったということもありますが、結果的に環境汚染につながることなので、エンジンはふかしすぎないよう気を付けています。
また、少し遠くても歩いて行けるところには歩いていくようにしています。その間に活動のこと、歌詞のことなどいろいろ考える時間にしています。」
―ミサ(ライブ)に行くたびに「環境デストロイ」のフリップの中身が、最新の環境問題に更新されていると思いますが、意識的に変えているのですか?
(16さん)
「はい、定期的に変えています。フリップ中身を変えるたびに毎回思うのはフリップのネタにする環境問題の本質は、いつの世も変わらないんだなと感じます。」
―「環境デストロイ」が収録されているアルバム「捨てました」(2012年)の歌詞カードを拝見すると、中身をかなり作りこんでいると感じました。制作過程を教えてください。



(16さん)
「まずタイトルについて、事務所に入った時に当時のスタッフさんに渡したデモ音源CDがあったのですが、ある時「あの時のデモのCDどこに置いてますか?」とスタッフさんに聞いたら「捨てました」と言われてしまいました。
そこで、当時、捨てられたデモ音源たちを再録して、アルバムのタイトルを『捨てました』にしました。」
―そうだったのですね。歌詞カード裏の「しんきにやさしい」をリサイクルマークのオマージュにしたのは「捨てられた」曲たちを再録(リサイクル)したという意味も込められているのでしょうか?
(16さん)
「そうですね。そういう意味も込めていますが、皆さんがよく目にするマークであり、モチーフにしやすいというところがあります。わかりやすくみなさんに伝えられることが一番だと思っています。」
まとめ
―本日は様々な質問に答えていただきましたが、最後に、分別や環境問題などに興味がない人がちょっとでも行動してもらうためにはどのようにはたらきかけたらいいと考えますか?
(16さん)
「これは私の実体験ですが、「他人に興味をもつこと」ではないでしょうか?以前バンドメンバーと3人で共同生活をしていたことがありました。数年間一緒に住んでいたのですが、最初の頃はみんな「生活」に対する意識がバラバラで、「ごみ」に対する意識もバラバラでした。そのため、分別をしなかったり、汚いごみの出し方に不満を覚えることもありました。しかし、ごみに限らず生活する中で他人の気持ちを考え、伝えあい改善していくことでごみの出し方も改善されていったように思います。他人の気持ちを考えることができればごみの出し方も少しづつ改善されるのではないでしょうか?」
今回の取材ではJin-Machineの「環境デストロイ」『Les secrets des ODD』の制作秘話を中心に伺っていくなかで、それに関連する16さんの環境問題に対する思いや意識の変化を知ることができた。そして、世間へのメッセージの伝え方も押しつけがましくなく、興味を持ってもらえるよう伝えるということも、メッセージを発信する際気を付けなければいけない点だと感じた。
さらに、一度捨てられたものを拾い上げ、新たな「新規」ファンも取り残さず届くように、世に広く問いかけ、それぞれが考える余白と解釈を大事にしていくというスタンスは、私たちが変わりゆく環境の中で暮らしていくための、重要な考え方ではないだろうか。
Jin-Machine OFFICIAL WEB SITE
https://www.jin-machine.net/
環境デストロイ
https://youtu.be/n5ZVD1YFl24?si=HE4C-gMImFuJ8jq-


