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「プチプチ®と環境~川上産業株式会社の持続可能な挑戦~」

 ネット通販などで商品を買って家に届いたとき、中に入っている「プチプチ®」なんとなくつぶしたくなってしまいますよね?このプチプチ®ってどこで作られているのだろう?疑問に思った私たちワケルキャンパスは岩沼市にあるプチプチ®を製造している川上産業株式会社に取材に行ってきました。誰もが一度は手にしたことがあるであろうプチプチ®。実は川上産業の登録商品です。正式には「気泡緩衝材」と言いますが、川上産業は気泡緩衝材の国内製造・販売が同業界の約60%を占めています。また、輸送や梱包で役立つ製品を幅広く展開しています。特に、製品をただ提供するだけでなく、環境への配慮も大切にしており、プチプチ®は全体の90%以上に再生資源を使用しています。また、品質や効率を両立させながら、常に新しいアイディアを取り入れているのも特徴です。
今回の見学、質疑応答を通じて、普段何気なく使っているプチプチ®の裏側に、どれだけの工夫や技術が詰まっているのかを知ることができました。

今回はプチプチ®ができる過程の3か所を見学させていただきました。

Ⅰプチプチ®製造過程
☛概要:再生された原材料を使用して、新しいプチプチ®を製造・商品化
① 使用済みのプチプチ®から再生された原材料が製造機械に投入され、大きな一枚のプチプチ®シートを形成。
② その後、全体を人の手で触れ、ダメージや不良個所がないか確認。
③ 品質確認を通過したシートは巻き取り機に送られ、所定のサイズにまかれる。
④ 完成したプチプチ®は、梱包され出荷の準備が整う。
ここでは、このような工程から新たなプチプチを生成し商品にしていました。
また、いずれの機械も一つ一つにニックネームをつけることで、従業員が機械に愛着を持ち働けるように工夫していました。

Ⅱプチプチ®の完成品置き場
☛概要:工場で製造されたプチプチ®の完成品の保管されているエリア
ここではプチプチ®がサイズや種類ごとに分類されており、用途に応じた多様な製品が揃っていました。出荷エリアに近い場所に配置し、迅速な物流を可能にしているそうです。また、保管スペースの効率化のため下の写真のようにプチプチ®のロールを上段に積み上げるなどの工夫もされていました。

保管の様子

Ⅲプチプチ®の分別・原料化工程
☛概要:プチプチの使える部分と使えない部分を分別し、使えるものを再び製品の材料として戻す
ここでは、自治体や学校、公共施設に設置している、専用回収ボックスで使用済みのプチプチを回収し、人と機械の連携で効率的に分別し、再度プチプチに再生するための原料に加工していました。

回収ボックス https://www.putiputi.co.jp/recycle

【Q&A】
工場見学をした後、いくつかの質問に答えていただきました。
質:製造時に製品を巻き付けている「紙管」について教えてください。
答:120cmロールの汚れていない紙管は紙管にリユース、120cm以外の汚れていない紙管は「古紙回収にて資源化」と紙管も再利用をしています。


質:環境に良い製品について教えてください。
答:多くの場面で目にするプチプチ® や板状になっている「プラパール」の再生原料使用率は、90%を超えています。また今後の目標は再生原料使用率を100%にすることです。

プラパール https://www.putiputi.co.jp/products/876

質:今は、ほとんどがリサイクル原料での製造になっていますがこのようになったのはいつからですか。
答:2004年から再生原料を利用しています。それまでは「バージン原料(新品の原料)」を利用していましたが、
バージン原料だけではプチプチ®の製造に足りないため、再生原料を利用するようになりました。またバイオマス原料を使用しているプチプチ®は他のものと混ざらないようにするため、緑色に着色しています。


質:年間リサイクルの割合はどこまで増やしていきたいですか。
答:再生原料を100%使用したプチプチ®作りを進めております。現在のポストコンシューマー※1使用比率は19%となっており、今後は55%にすることを目指しています。そのためにも、プチプチ®の回収率を増加させる必要があります。川上産業は回収ボックスを各所に設置しており、回収ボックスの利用拡大と共に「プラごみではなく回収に」という意識改革も必要だと考えています。
※1製品として使用された後にリサイクルした材料


質:環境問題に対する取り組みを教えてください。
答:プラスチックによる環境に対する影響を防ぐために、さまざまな策が制定されています。2019年には東南アジア諸国の廃プラスチック輸入を規制する「バーゼル条約」が強化され、2022年にはプラスチックに係る環境資源の循環等に関する法律「プラスチック資源循環促進法」が制定されています。この法律では「3R」と素材を再生資材や再生可能資源に切り替えていく「Renewable」を合わせた「4R」が原則となっています。川上産業では「プチプチ環境宣言2030」という2030年までの目標を掲げて製造を続けています。
目標①プチプチ生産に使用する主原料の再生比率について、2020年実績値80%以上から【2025年までに100%レベル到達】に引き上げます。
目標②2030年までに、プチプチ再生比率100%レベルのうち55%以上についてポストコンシューマー使用(使用済みプチプチの再生原料化含む)を目指します。
目標③2030年までに①②の活動によりCO2排出量20%削減を目指します。(2020年比)


質:プチプチ®の回収について教えてください。
答:プラスチック国内循環の取り組みとして「ループリサイクル」にも取り組んでいます。ループリサイクルとは、「回収」「製造・販売」「市場販売」「購入」の流れの中でごみゼロ化を目指すものです。使用済みのものを回収しそれを再び製品として販売することで実現が可能になっていきます。回収は、学校や企業などへの回収ボックスの設置を通して行っています。回収ボックスの設置はSDGsのGOAL12「つくる責任つかう責任」への貢献にも繋がっています。


質:GOAL12「つくる責任つかう責任」以外に力を入れているSDGsは何ですか。
答:GOAL3の「すべての人に健康と福祉を」とGOAL4の「質の高い教育をみんなに」です。GOAL3は有害化学物質の発生をゼロで管理しています。さらにエコキャップの回収を行い寄付、そこからできるワクチンの寄付結果を全社員に共有しています。GOAL4では小学校での出前授業を行い、子どもたちへの学習の場の提供をしています。

【多種多様なプチプチ®】
通常のプチプチ®製品以外にも、プチプチ®を生かした様々な製品を紹介していただきました!

① プチプチ®で作られているボトル袋(写真左上)
☛袋のデザインが日本の絵画になっており、海外の方から好評。耐久性にも優れている。
② はぁとぷち(写真左下)
☛正方形で手のひらサイズのプチプチ®シートが数枚入っている製品。プチプチ®の部分がハート型になっており、ギフトラッピングはもちろん、アイディア次第で多用途に利用可能。
③ ロール型のプチプチ®製品(写真右下)
☛トイレットペーパーのような容姿をしておりコンパクト。プチプチ®の部分が四角い形になっており、好きな大きさに手で簡単にカットできるデザイン。


【まとめ】
今回の訪問では、川上産業の製品の特徴や持続可能な社会に向けた取り組みについて学ぶことができ、とても充実した時間を過ごすことができました。持続可能な社会に向けた取り組みでは、使用済みのプチプチ®の回収や再利用をして資源の循環を可能にしていることが分かりました。プチプチ®の回収は私たち消費者ができることだと思います。回収ボックスを見つけた際には積極的に利用することで、プラスチックの資源循環に少しでも貢献できるのではないかなと思いました。

川上産業株式会社 https://www.putiputi.co.jp/