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仙台うみの杜水族館発!お客さまが参加できるエコ活動「うみのもリサイクル」って何?

 約300種5万点の生きものの展示を通して、三陸、日本、そして世界のうみの魅力を発信している『仙台うみの杜水族館』。連日たくさんのお客さまが足を運ぶ水族館内では、お客さまの手で“ごみ”を“資源”に変える循環型社会を目指したリサイクル推進活動「うみのもリサイクル~お客さま参加型エコアクション~」を展開しています。

 これは、フードコートでお客さまが飲み終えた飲料用紙コップを、使用したお客さま自身が「Re-CUP WASHER(リカップウォッシャー)」という洗浄機で中をすすぎ、資源として回収する取り組みです。これまでフードコートで使用してきたプラスチック製コップを紙製に変え、さらに「Re-CUP WASHER」を導入したことで、水族館から排出された紙コップは新聞紙にリサイクルできるようになりました。

 2024年4月からスタートしたこの取り組みについて、仙台水族館開発株式会社 代表取締役社長の伊吹 立さんにお話を伺いました。

仙台水族館開発株式会社 代表取締役社長 伊吹 立さん

―――「うみのもリサイクル」を始めたきっかけについて教えてください。

伊吹社長

「『仙台うみの杜水族館』では開業以来、ごみの減量やリサイクル推進活動に取り組んでおり、昨年は仙台市から『エコにこゴールドマイスター』の認定をいただくことができました。」

ペットボトルからリサイクルされたエコバッグ(左)や紙製のショップバッグ(右)。
リサイクルを推進するこれらの商品は、1階のミュージアムショップで販売しています

伊吹社長

「その一環で、これまでもフードコートでは、無料で飲んでいただける水用の小さな紙コップを回収して再生紙にするリサイクル活動を行っていました。」

―――今回の「うみのもリサイクル」では、ジュースやコーヒーなどのコップもリサイクルの対象になっていますね。

伊吹社長

「はい、これまではそうした飲み物はプラスチック製のコップで提供してきました。排出の際はきちんと分別して処理していたので、海洋プラスチック問題とは直接結びつくものではなかったのですが、やはり水族館としてできるだけプラスチックの使用を減らしたいという思いがありました。」

『仙台うみの杜水族館』では、環境について学べるSDGs啓発イベントを毎年定期的に開催しています。
イベント期間中だった取材当日、プラスチックごみ削減に関するパネル展示も行われていました

―――それでプラスチック製から紙製のコップに変えたんですね。

伊吹社長

「ただ単に紙コップに変えただけではやはりごみとして排出することになってしまいます。なぜなら、紙コップの中に飲み物の残渣(ざんさ)が付いた状態ではリサイクルできないからなんです。これをどうにかしてリサイクルに結びつけられないか、という課題がありました。」

―――どのようにして課題解決に向かいましたか?

伊吹社長

「水族館のスポンサーシップ営業を委託している三井物産フォーサイトから、プロスポーツチームの試合会場で、来場者が使用した紙コップを洗浄してリサイクルに回すことでごみの削減に取り組んでいる、という話を聞きました。そこで使用されていたのが、今回導入した『Re-CUP WASHER』だったんです。水族館でも展開できるかもしれないと思い、包装容器メーカー大手であり、環境貢献に力を入れている東洋製罐グループホールディングス様と、『Re-CUP WASHER』を開発した東罐興業様に相談し、ノウハウとお力添えをいただいて、常設で使用できる運びとなりました。『Re-CUP WASHER』を常設で365日使用できるのは、日本で初めてだそうです。」

―――現在「Re-CUP WASHER」は1階のフードコートに設置されていますね。使い方を教えていただけますか。

伊吹社長

「まず紙コップに入った氷や飲み残し、ふたなどを取り除いた後、飲み口を下にして『Re-CUP WASHER』の中心部に押し当てると、数秒間水が噴射され、自動で中をきれいに洗浄してくれます。洗浄が終わったら、紙コップを回収ボックスに収めて完了です。この一連の作業は、すべて紙コップを使用したお客さまご自身にお願いしています。」

中を空にする、洗う、回収ボックスに入れるの3ステップで完了!
洗浄の際は、水ハネしないように5秒程度待ってから紙コップを持ち上げるのがポイントです。
洗っていただいた紙コップは水を切ってからリサイクル会社に送る必要があるので、
飲み口を下にした状態で回収ボックスに入れてください

―――「お客さま参加型エコアクション」と謳われているのはそのためなんですね。

伊吹社長

「『Re-CUP WASHER』を使用した取り組みを通して、“きれいに洗うことで初めて紙コップが資源になる”ということを今まで気にしていなかった、初めて知った、というお声をいただいています。“洗う”というひと手間をお客さまご自身で体験することが、資源循環の啓発として非常に役立っていると感じています。」

高さが異なる「Re-CUP WASHER」で、親子一緒にリサイクル活動を体験することができます

伊吹社長

「『Re-CUP WASHER』は高さが異なる2台を設置しているので、お子さまと保護者さまが並んで紙コップを洗浄することができます。この“ごみ”が“資源”に変わる瞬間を親子で体験することが大切なんですよね。一緒に体験することで、たとえばご家庭でごみの問題を話し合うきっかけにつながるなど、環境に配慮する取り組みをより身近に感じていただけるのではないかと考えています。」

伊吹社長

「加えて、リサイクルを楽しく体験してほしいという思いがありました。実際に、お子さまにとっては紙コップを機械で洗うのが楽しいという感覚があるようで、本当にいきいきと取り組んでくださいます。より小さいお子さまには保護者さまがお手伝いしながら紙コップを洗浄している場面もあって、とても微笑ましく感じています。」

―――さまざまな世代の方が「うみのもリサイクル」に能動的に参加されているのですね。リサイクルの実績についてはいかがでしょうか。

伊吹社長

「実は導入当初、お客さまが『Re-CUP WASHER』の使い方に戸惑われるのではないかと心配していましたが、皆さま非常にうまくお使いいただいています。2024年4月から取り組みが始まったのですが、8月までの5ヶ月間で172.2㎏の紙コップをごみから資源に変えることができました。また、8月の紙コップの回収率は62%となりました。リサイクルに積極的に取り組むお客さまの意識の高さを実感しています。」

洗浄した紙コップは大きさ別に揃えて回収され、リサイクル会社を経由し製紙会社に運ばれて新聞紙に生まれ変わります

―――回収された紙コップは、どのようにリサイクルされているのでしょうか。

伊吹社長

「宮城県内の製紙会社で新聞紙に再生されていますので、その一部は仙台市内で新聞として循環しているでしょうね。紙コップから紙コップに水平リサイクルすることも、今後の技術革新によって実現できたら良いなと考えております。」

―――資源循環が地域の中で行われているのですね。紙コップへの再生にも期待したいです。

伊吹社長

「私たちとしては、紙コップリサイクルの取り組みがもっと横に広がっていってほしいと考えています。たとえばこの記事を読んで興味を持った事業者の方が『Re-CUP WASHER』を導入すれば、より多くのごみを資源に変えることができます。そうした取り組みを通して、より環境に配慮した社会につなげていきたいです。」

取材協力:仙台うみの杜水族館

「Re-CUP WASHER」導入についてのご相談

東罐興業株式会社 営業本部 営業三部 営業一G TEL: 03-4514-2112