「見せるリサイクル」がコンセプト!古紙再生の現場を見学に行こう
仙台市では、月2回の紙類定期回収や町内会・子ども会での集団資源回収などで古紙を回収し、再生紙にするリサイクルを推進しています。仙台市の紙類定期回収において、2023年10月から雑がみは「ビニール袋や紙箱で出してもOK」「雑誌と雑がみを混ぜてもOK」と排出のルールが緩和され、雑誌・雑がみが出しやすくなったと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
市民の皆さんから回収した古紙は、いくつかの段階を経て再生紙に生まれ変わり、再び私たちの生活の中で利用されます。では不要になった古紙をごみ集積所や集団資源回収所に出した後は、どのような行程でリサイクルされるのでしょうか?
そこで今回は、私たちが排出した古紙の足取りをたどるため、回収した古紙を処理する株式会社仙台リサイクルセンターに伺いました。沼田若菜管理課長と丸屋裕雅営業課長にご協力いただき、事業の理念や事業内容、さらに一般の方が施設を見学することができるコースも案内していただきました。
―――御社の事業について教えてください。
丸屋さん
「当社には“環境”に軸足を置いて、自然にやさしいかたちで地域の方々が豊かに暮らせる環境をつくろうという方針があります。そのために何をすればよいかと考え、廃棄されたものを資源として分別してリサイクル事業者に送るなどして、リサイクルを推進しています。」
―――まず理念があって、それに付随して事業を展開されているのですね。取り扱う対象は古紙が多いですか?
沼田さん
「古紙は当社事業の6~7割を占めています。他にも金属や古布、ビン、木くずなども取り扱っています。」
丸屋さん
「当社で資源を回収するルートは大きく2通りに分かれます。1つは地域の町内会や子ども会の集団資源回収です。現在仙台市内の約200団体とお付き合いがあり、古紙をはじめさまざまな資源を回収しています。もう1つは事業系のルートです。金属くずや木くずといった産業廃棄物を回収し、リサイクルするための処理を行っています。」
―――回収した資源はどのように処理しているのですか?
丸屋さん
「古紙を例にすると、まず集団資源回収で集められた古紙を新聞チラシ・段ボール・雑誌雑がみに分別します。そこからリサイクルできない不適物を職員が手作業で取り除きます。その後、種類別に圧縮梱包機で圧縮し、リサイクルの原料となる「ベール」をつくります。そのベールを再生紙メーカーに出荷するまでが当社の業務内容です。」
―――運び込まれる古紙のなかで量が多いものなど、傾向はありますか?
丸屋さん
「一番感じているのは、この10年で新聞紙の排出が極端に少なくなったということです。雑誌もそうですね。新聞や雑誌を読む方が減っていることの裏付けだと感じています。逆に、宅配便が多く利用されるようになったことから、段ボールの量が全体の割合の半分以上になってきました。その次に多いのが雑がみです。ただ新聞・雑誌が減っていることから、回収される古紙の量自体が減ってきていると感じます。」
―――時流を反映した傾向になっているのですね。ところで御社では、そうした古紙などを処理する様子が見られる「施設見学」を受け付けていらっしゃいますね。
丸屋さん
「仙台市の「環境施設を見る会」の見学施設になっており、“ワケルくんバス”に乗って団体で見学していただくことができます。また個人の方でも、当社に直接申し込んでいただければ施設を見学することができます。」
―――御社の社屋は“見せるリサイクル”を意識して建てられたそうですが、見学コースにはどのような特徴がありますか?
丸屋さん
「工場内は車の出入りが多く危険なので、場内に設置されたキャットウォークから安全に見学していただいています。エレベーターで社屋の3階に移動してそこからキャットウォークに出られるので、お子さまや車いすをご利用の方も安心して見学することができます。また工場の中を上から一望することができるので、古紙はもちろん、ビン・缶類の選別など、工場内で同時に作業している様子を移動することなく見ることができます。」
丸屋さん
「また施設見学の最後に、3階にあるイベントホールで古紙の一部をご覧いただいています。古紙は種類によってはリサイクルできないものがあるため、それらを直接手に取っていただいて、“リサイクルできる・できない”の違いを改めてご確認いただいています。」
―――実際にリサイクルできないものを見て触ってみる、そしてそれがなぜリサイクルできないのかを考えてみることで、リサイクルへの理解が深まりそうですね。
丸屋さん
「ありがとうございます。余談ですが、先ほど車の出入りが多いと申しましたが、最近事業系のトラックだけでなく、一般の方が乗用車で当社に資源を持ち込んでいただくケースが非常に増えているんです。とてもありがたいことです。」
―――一般の方の持ち込みが増えているから、車の出入りが多くなっているんですね!
沼田さん
「古紙ももちろんですが、もう着なくなった衣類を持ち込む方も多いです。衣類は古着として海外に輸出することが多いので、カビなどが生えていないものを洗濯して、きれいな状態で持ち込んでいただけると大変助かります。」
丸屋さん
「持ち込んでいただいた資源はすべて重量に応じて買い取りをしています。予約や申込も不要で直接当社に持ち込んでいただいて構いませんので、ぜひリサイクルにご協力をお願いいたします。」
取材協力:株式会社仙台リサイクルセンター