雑がみ、ワケてますか?~古紙回収の流れと分け方・出し方のポイント
仙台市では、家庭から出た紙類を回収してリサイクルする取り組みを進めています。回収する紙類は、「新聞・折込チラシ」「段ボール」「紙パック」「雑誌・雑がみ」の4種類に分けられます。
中でも雑がみは、リサイクルできる雑多な紙のことを指します。たとえば、お菓子の紙箱、紙袋、包装紙、トイレットペーパーの芯、コピー用紙などです。雑がみは対象となる種類が多く、また雑がみに該当するかどうかの判断が難しいものもあることから、分別されることなく家庭ごみとして焼却されることも多くあります。
しかしこの雑がみ、しっかり分別できれば良いことがたくさんあります!まず、家庭ごみに混入する雑がみを分別すれば、1割以上の家庭ごみの量の削減が見込まれます。回収される雑がみが増えれば紙の原料である森林の保護にもつながります。
そこで今回は、雑がみのリサイクルをより一層促進するために、雑がみの分け方や集積所への出し方のポイント、さらに私たちが出した雑がみがどのようにリサイクルされるかをご紹介します。仙台市で古紙回収業と各種リサイクル業を営む『山傳商店』の木田大士取締役統括部長に、詳しくお話をお聞きしました。
株式会社 山傳商店 取締役統括部長 木田 大士さん
―山傳商店さんでは、集団資源回収や集積所から回収された紙類のリサイクルに取り組んでいますが、どんなものが雑がみの対象になりますか。
木田さん
「まず、当社に見学に来られる市民の方に『雑誌と雑がみの違いって何?』とよく質問されます。雑誌は簡単にいうと本のかたちになっている紙類ですね、マンガ雑誌やカタログなどがその対象です。一方で雑がみは、ボックスティッシュの箱、ラップやトイレットペーパーの芯、はがき、カレンダーなど規格がバラバラの紙類です。」
―いろいろな種類の紙類が雑がみになりますが、対象にならないものもありますか?
木田さん
「再生紙の原料としてリサイクルできないものは、雑がみの対象になりません。 ビニールでコーティングされた紙(少し破ると断面にビニールが見えるもの)、臭いのついた紙(粉石けんや線香の箱など)、感熱紙(レシートなど)、写真・写真プリント用紙、カーボン紙(宅配便の伝票など)、圧着はがき、油で汚れた紙(ピザの箱など)などは、家庭ごみとして出すことになります。
ただし、ビニールでコーディングされた紙製容器包装(紙マーク)がついた紙は、公共施設に設置している資源回収庫(市内37ヶ所)に限り回収して資源化しています。ジュースなどの箱やカップ麺・ヨーグルト・アイスクリームなどの紙カップ、紙製のふたなど対象になるものは、汚れを軽く水洗いして紙袋に入れて、資源回収庫に出してくれるとありがたいですね。」
―他にも雑がみとして分別する時に注意が必要なことはありますか?
木田さん
「ボックスティッシュの箱は、ビニール部分はリサイクルできないので取り除いていただけると助かります。ビニール部分はプラスチック用の赤い指定袋に入れると、その部分もプラスチックとしてリサイクルできます。」
木田さん
「それと窓付きの封筒で、窓部分が紙製でないものは取り除いていただきたいです。窓部分が紙製でもリサイクルできるもの・できないものがあり分かりづらいものもあります。封筒に『この封筒はすべて紙でできていますので古紙としてリサイクルが可能です』などの注意書きがあればリサイクルが可能ですが、判断が難しい時は取り除いていただくことをおすすめします。」
―雑がみを分別して集積所に出す時には、どんなことに気をつければよいですか?
木田さん
「紙袋に入れるか、チラシなどの大きめの紙に包んでひもでしっかり十文字にしばって出す方法がありますが、簡単なのは紙袋に入れる方法ですね。この時、紙袋の中身が飛散しないように紙ひもやビニールひもなのでしっかりしばってください。ただしガムテープで巻くと、粘着した部分がリサイクルできなくなってしまうので避けていただきたいです。また紙袋の中身が見えない場合は、紙袋に『雑がみ』と書いて出していただくと、回収後の作業がしやすくなりとても助かります。」
木田さん
「雑がみをまとめて入れる紙袋もリサイクルの対象となるので、コーティングされた紙袋などは避けていただき、取っ手がビニール製などの場合は取り外して出していただけるとありがたいですね。紙製の買い物袋の中には、仙台市オリジナルの雑がみ回収ロゴマークが印刷されているものもあるので、ぜひそうした紙袋を使って雑がみのリサイクルを進めていただきたいです。」
―集積所に出された雑がみは収集車で山傳商店さんに集められますね。集められた雑がみは、どのようにリサイクルされますか?
木田さん
「まずはリサイクルできるものとできないものに分別します。紙袋の中にはご家庭で分別した雑がみが入っていますが、誤ってリサイクルできないものが混入することもあるので、目視で確認して手作業で除去しています。」
木田さん
「分別後は雑がみをベーラーと呼ばれる専用圧縮梱包機に投入して100馬力でプレスし、古紙ベールという塊を作ります。当社で作る古紙ベールは、トラックに積載しやすいように横1m、高さ1m、奥行き1.8mで統一されています。これをトラックに積んで製紙工場に搬送します。製紙工場では、運ばれた雑がみなどを原料にして、再生紙を製造します。」
―雑がみでできた再生紙は、どんなものに使われますか?
木田さん
「段ボールの中芯や雑誌用の紙、ボール紙(お菓子の箱等)、卵の緩衝材に使われるようなパルプモールドという包装資材などに使われます。また一部は難燃処理が施された建築資材になったり、畜産業の敷料にも使われたりしています。」
―私たちが不要になって出した雑がみが、新しい役割を担って再び活用されているのですね。
木田さん
「私たちの業務は製紙工場に古紙ベールを運ぶまでですが、製紙工場では実際に再生紙を作ります。古紙ベールを水や薬品で溶かして古紙パルプを作り、再生紙の原料を製造するのですが、溶解した時に禁忌品等、リサイクルできないものがごみとして堆積します。ごみはできれば少ない方がよいので、リサイクルできるもの・できないもののご家庭での分別を呼びかけています。」
―再生紙の製造工程でごみは少ない方がよいですし、山傳商店さんでの手作業の分別も大変そうでした。リサイクルできないものをしっかり把握して、なるべく入れないように心がけます!
木田さん
「ありがとうございます!仙台市民の皆さま一人ひとりの意識の向上のおかげで、実は雑がみの回収率はどんどん上がっているんですよ。ぜひ今日お話させていただいた内容を参考にしていただいて、今後も雑がみの分別・リサイクルにご協力をお願いいたします!」
仙台港の近くにある「山傳商店 仙台港リサイクルセンター」には、誰でも利用できるドライブスルー型のリサイクルステーションを設置し、紙類・アルミ・布・ペットボトルなどを回収しています(月~土曜8時~17時)
取材協力:株式会社 山傳商店