プラスチック

マイクロプラスチックについて

公益財団法人みやぎ・環境とくらし・ネットワーク(MELON:メロン)に聞く

わたしたちが使ったプラスチック製品が適正に処理されずに捨てられてしまうと、海へ流れ海洋汚染につながることがあります。細かくなったプラスチックごみで、5mm以下のものをマイクロプラスチックといいます。
わたしたちの身近な海、荒浜の海岸にはマイクロプラスチックはあるのでしょうか。あるとしたら、それはどういう理由で、海辺に来たのでしょう。マイクロプラスチックについて調査をしている公益財団法人みやぎ・環境とくらし・ネットワーク(MELON:メロン)のみなさんにお話をうかがいました。

左から、公益財団法人みやぎ・環境とくらし・ネットワーク(MELON)の小林幸司さん、吉田美緒さん、畠山紳悟さん。

―今日はマイクロプラスチックについてお話をうかがいたいと思います。まずはみなさまのこと、MELONの活動について教えていただけますか。

吉田さん
「公益財団法人みやぎ・環境とくらし・ネットワーク(MELON)は、みやぎで環境を考え、くらしの中で環境を守り、未来に繋げたい。そんな想いから生まれた環境NGOです。気候変動問題に関する普及啓発や河川の水質調査への協力、スタジアムでのごみ分別・減量など実施しています。約3年前から海洋ごみ問題にも取り組み、若林区荒浜を中心に調査やセミナーの開催を行ってきました。」

―様々な活動に取り組んでいるのですね。今回は海洋プラスチックごみ問題でよく耳にするマイクロプラスチックとはなにか、どのように発生して、どこで見つかり、どんな問題があるのか、教えていただけますか。

畠山さん
「直径が5㎜以下のプラスチックがマイクロプラスチックと呼ばれます。種類は色々ありまして、プラスチック製品の原料となる粒や、わたしたちが使ったプラスチック製品が自然界に放置されることで太陽光や波によって細かく砕けたものなどがあります。発生する原因は、わたしたち一人一人の生活から、大規模な工場から出るものまで本当にたくさんありますが、すべて人間の活動ですよ。
見つかる場所というのは、難しい問題ですね。MELONでは砂浜に打ち上げられたものを調査回収していますが、それ以外の場所にあるものの方が多いのではないかと考えています。世界中で1年間に約3億トンのプラスチックが作られていて、そのうち約800万トンが様々な理由で海に流出していると考えられています。しかもマイクロプラスチックの一部はどこにあるか未だによくわかっていません。1㎜以下のマイクロプラスチックは、あるはずの量の1〜10%程度しかまだ見つかっていないのです。
『どんな問題があるか?』という質問はよく受けます。しかし、相手はどこにあるかすらわかってないものです。どんな問題があるのか研究者でもよく分かっていないようです。ただはっきり言えることとして、既に多くの魚の体内からマイクロプラスチックは見つかっており、わたしたち人間の体内からも見つかっています。それがどう健康に影響するかは断言できませんが、プラスチックの添加剤が魚や人に影響を与える可能性が研究され危惧されています。問題が起きてからでは遅いです。」

マイクロプラスチック

―マイクロプラスチックは荒浜の海岸にもあるのでしょうか。

畠山さん
「あります。たくさんあるんですよ。波打ち際と防潮堤の中間あたりでかたまって見つかります。」

マイクロプラスチックの漂着が多いエリア

―どうして、このエリアなのでしょう。

畠山さん
「調査中なのですが、特に台風などの大波で運ばれてくると考えています。また風の影響もありますね。

海岸清掃をしていると、台風の後はペットボトルや発泡スチロール、様々なプラスチックが多く流れついてきていたりして、影響がはっきりわかります。街中や河川に落ちていたゴミが流れてくるからです。」

―ということは、近くの川などから流れてきているということでしょうか。

畠山さん
「はい、特にわたしたちの家庭から出るプラスチックは、川から海へ流れているものが多いと考えられています。
そしてまた、家庭から出ているプラスチックだけではなく、工場や農業、漁業に関連したマイクロプラスチックもあります。荒浜はすぐ近くに国際拠点港湾である仙台塩釜港があるためか、工場に関係したマイクロプラスチックが多いです。わたしたちが調査に行った場所だと、工業港から遠い名取や亘理町では工業系のマイクロプラスチックは少なく、反対に工業港周辺の東京湾や名古屋港では多く見つかりました。」

―工業系のマイクロプラスチックというのはどういうものがありますか?

畠山さん
「荒浜でわかっているのが10種類程度ありますが、その中でも1番多いのはこれです。レジンペレットと呼ばれています。これはプラスチック製品を作る時の原材料です。石油などから一旦レジンペレットを作り、それをまた別の工場で溶かして、わたしたちが使う様々なプラスチック製品が作られています。プラスチックを作る途中や運んでいる途中に誤って漏れてしまうと考えられています。」

レジンペレット

―こうしてみると、とても小さいものだとわかるのですが、どうやって採取しているのですか。

畠山さん
「このようなふるいですくって、振り分けます。ふるいの穴の大きさが1mm程度なので、レジンペレットなどのマイクロプラスチックを効率良く採取できます。」

マイクロプラスチックを採取する際に使用しているふるい

―仙台の海にもいろいろな種類のマイクロプラスチックがあることに驚きました。

畠山さん
「荒浜だけでも生活、農業、漁業、工業に関わるたくさんの種類のマイクロプラスチックがあり、仙台周辺では数百種類はあると考えています。わたしたちが種類や排出ルートを推定できているものはそのうちのほんのわずかです。プラスチックは生活や社会と深く広く結びついているので、全てを無くそうということは無理があると思いますが、プラスチックとの向き合い方、お付き合いの仕方をみなさんと考えて実践していきたいです。」

写真のプラスチック類の素材提供:公益財団法人みやぎ・環境とくらし・ネットワーク(MELON)