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株式会社いたがき 取締役 板垣 亜紀子さん、 ジュース統括マネージャー 目黒 英智さん
22022.02.21
鮮やかないちごの赤、フレッシュなオレンジ、高貴に輝くメロンのグリーンと、果物専門店『いたがき』のフルーツジュースは、素材となる果物の美しい色によって、見た目にもおいしさを感じさせてくれます。その『いたがき』のフルーツジュースを提供するコップが、2021年10月にプラスチック製から紙製に切り替わりました。
一見すると、プラスチック製コップの方が全体的にフルーツジュースの色が見えて、視覚的なインパクトが強いように感じます。それでも『いたがき』は、脱プラスチックの一環として強い意志を持って切り替えに踏み切りました。そしてその決断が、会社全体でプラスチック使用量削減を一層推進する布石となりました。
昨今のプラスチック問題に危機感を覚え、今回の取り組みを発案した取締役の板垣 亜紀子さん。そして現場統括の目黒 英智さんに、取り組みの経緯や現場での反響、そして次なる挑戦についてお話を聞きました。
—今回の取材の主な目的は、『いたがき』さんのジュースコーナーで提供しているフルーツジュースのコップがプラスチック製から紙製に替わったことなのですが、このコップ、おそらく提供を始めた当初は紙製ではありませんでしたか?
板垣さん
「そうなんです。フルーツジュースの提供を始めたのは昭和53年(1978年)からで、当時は紙製が一般的だったので紙製のコップを使用していました。その後、フルーツジュースのきれいな色が見えた方がいいね、ということになって2000年代初頭からプラスチックのコップに替えたんです。でも、近年になって海洋プラスチックや地球温暖化などの環境問題が深刻化して、これは他人事ではないと感じました。まずは身の回りからプラスチックを減らすことを始めようとした時に、私はカフェの統括をしているので、カフェやジュースコーナーで一番プラスチック使用量が多いフルーツジュースのコップを替えようと思いました。」
目黒さん
「昨年10月からフルーツジュースを提供する全6店舗でコップを紙製に替えて、ストローも紙製にしました。テイクアウト用の蓋はプラスチックなのですが、ストローを使わなくても飲めるように、飲み口が一体化したものを使っています。イートインのお客様にフルーツジュースをお渡しする時は、まずはジュースが入ったコップのみお出しして、蓋やストローが必要かお聞きしてから必要な方にのみお付けするようにしています。」
—コップだけでなく、蓋やストローもリニューアルしたのですね。コップを紙製に替えたことで、プラスチック使用量はどれだけ削減できるのでしょう?
目黒さん
「試算したところ、コップや蓋、ストローも合わせて年間7トンを削減できる予定です。実際、各店舗のごみ袋に入っているプラスチックの量が明らかに違うんですよ。スタッフたちも廃棄するプラスチックが減ったことをかなり実感しています。」
—お客様からの反応はいかがですか?
目黒さん
「お客様の反応も良かったです。今はこのスタイルがだいぶ浸透してきて、ストローや蓋を付けずに飲むお客様が増えてきています。」
板垣さん
「フルーツジュースの色が見えないところがちょっと心配だったけれど、クラフト調のコップがかわいいと言ってくれるお客様もいますね。そうしたデザイン的な部分だけでなく、プラスチックの使用量を減らしたという点を評価してくださるお声もありました。お客様から『よくぞやってくれた!』とお褒めの言葉をいただいた、という話を聞いて、本当にやってよかったと思いました。これからもできることから少しずつ、取り組みを進めていく予定です。」
—『いたがき』さんの決断に共感してくれるお客様もいて、今回の切り替えは大成功でしたね。そしてプラスチック使用量を削減する別な取り組みも計画しているのですか?
板垣さん
「これは社長の発案で、有料のレジ袋を植物由来のプラスチックを使用したものに替えました。現在は全店で切り替えていて、大きさによって3種類用意しています。」
板垣さん
「それと、果物ってプラスチックのケースに入って売られているものが多いと思うんですけれど、あのプラスチックケースを『いたがき』全店で廃止して、紙のトレーにしていきたいと考えています。現在は仙台三越店で販売する果物は紙のトレーに替わっていまして、今年いっぱいかけて順次切り替える予定です。」
—果物って柔らかいものも多くて、傷がつくのを守るためにプラスチックケースがあると思うのですが、紙トレーに切り替えたことで果物にダメージはないですか?
板垣さん
「紙トレーもしっかりしているので、遜色ないですよ。ただ、いちごなどは傷つきやすいですし、産地の方からプラスチックケースに入ってくるので、それを弊社で紙トレーに入れ替えるとますます傷がつくリスクが高くなるので、ゆくゆくは替えていきたいという目標を持って、まずはできるところから進めています。現在はかんきつ類やりんご、キウイフルーツなどに紙トレーを使っています。」
——果物にプラスチックケースはつきもの、というイメージがあったので、とても画期的な取り組みだと感じます。
板垣さん
「ゆくゆくはプラスチックも含めて、食品ロス削減やごみ減量なども視野に入れて事業を進めていきたいと思っています。」
目黒さん
「そもそもフルーツジュースも、果物の一部に傷がついたりして廃棄の危機にあったものを、その一部だけを切り取って残りをジュースにしたという経緯があります。まだ食べられるものを有効活用するということで、食品ロス削減やごみ減量につながる商品なんですよ。」
板垣さん
「フルーツジュースが良い例だと思いますが、やはりお客様が喜んでくれるのが一番で、なおかつ環境に配慮した取り組みを増やしていきたいですね。そうした未来を夢見て、少しずつ挑戦していきたいと思います。」