モッタイナイキッチン

意外なスパイス遣い、調味料遣いで世界が広がる

モッタイナイ × のんきぃ

路地に佇むウッディなダイニング・カフェ

2019.12.26 掲載

サンモール一番町のアーケードを北へと抜けた一番町1丁目。どこか落ち着いた街並みのなかに、丁寧な味づくりやものづくりを大切にする店が点在する人気のエリアです。今回おじゃまする『のんきぃ』があるのも、そんな一番町1丁目の路地のなか。明るいブルーとイエローに彩られた外観が目印です。

▲「夜のミニカレーセット」(880円)。
テイクアウトの「薬膳カレー弁当」(600円)も人気。

薬膳インドカレーと多彩な野菜料理が評判に

『のんきぃ』の一番人気は、アーユルヴェーダに基づく本格的な薬膳インドカレー。インド、そしてヨガの聖地とも呼ばれているオーストラリア・バイロンベイでアーユルヴェーダ食を学んだYUKIさんがレシピを担当しています。10種以上のスパイスと香味野菜を使ったこのインドカレーに欠かせないのが、旬の新鮮な地元野菜をたっぷり使った多彩な付け合わせ。インドの食卓では、日本のお惣菜と同じようにこうしたカチュンバル(サラダ)やアチャール(漬物)が愛されています。

▲オーナーの須田悦子さん

素材そのものを活かし、スパイスでひきたてる

インド料理といえばカレー、カレーといえばスパイスやソースが主役、とばかり思われていますが、インド料理の本当の主役は素材そのもの。それだけに、インド料理では良質な素材を選び、その素材を無駄なく使い切ってカレーやこうしたお惣菜に仕立てることをとても大切にしているのです。『のんきぃ』も、アーユルヴェーダの食哲学と日本古来の「しまつ」の精神とを大切に、常時7~8種の野菜料理を作っています。この野菜料理は、お酒のおつまみとしても大人気。ビールはもちろん、ワインとも相性がいいのは、オイルやスパイスの使いかたに工夫があるからです。今回は、たっぷりと肥えた冬の旬野菜にエキゾチックなスパイスや調味料を合わせ、いつもとはひと味違ったお惣菜・常備菜を楽しみましょう。

旬の冬野菜を、皮や葉も活かしてお惣菜に

「これからの季節、大根やかぶがとてもおいしくなりますが、捨てがちな葉っぱや皮の部分にもたくさんの栄養と風味が詰まっているので、できれば全部活用したいですね」
そう言ってオーナーの須田悦子さんが教えてくれたのが、「ねぎとかぶのポタージュ」と「かぶのマスタードシード炒め」の2品。
「ポタージュのねぎは丸ごと、青い部分もすべて使います。けれどかぶは、皮の部分を使うと繊維質が残って舌ざわりが悪くなるので、思い切って厚剥きにして中だけを使います。マスタードシード炒めは、この皮の部分をおいしく味わうために生まれた料理なんです」

▲中心部のやわらかい部分をスープに、皮近くの繊維の多い部分を炒めものに。


のんきぃのレシピ

ねぎとかぶのポタージュ

  • 長ねぎ 3本
  • かぶ 3個
  • 塩 適宜
  • 胡椒 適宜
  • オリーブオイル 適宜

長ねぎは鍋に入るくらいの長さに適当に切り分ける。かぶは葉を取って皮を厚剥きし、4等分ほどの大きさに。長ねぎとかぶを圧力鍋に入れ、ひたひたの水で15分ほど煮る。柔らかくなったらハンドミキサーでなめらかに。味付けは塩のみ。仕上げに、盛り付けてから粗挽き胡椒とオリーブオイルを加える。 「お店では、数種のナッツやスパイス、岩塩をオリジナル調合したデュカという調味料とMCTオイルで仕上げています」

かぶのマスタードシード炒め

  • かぶ 3個
  • 生姜 1片
  • マスタードシード 適宜
  • ヒマワリ油 適宜
  • 塩 適宜
  • 胡椒 適宜

厚剥きにしたかぶの皮を千切りにし、葉はみじん切りに。生姜も千切りにしておく。冷たい鍋に油とマスタードシードを入れ、ゆっくりと焦げないように火を入れる。オイルに香りが移ったらかぶの皮と生姜を入れ、塩、胡椒して炒め合わせていく。かぶがしんなりしたら盛り付け、刻んだかぶの葉を飾る。

また、カレーに使ったセロリの葉の部分も、風味豊かな一品に。
こちらはごはんのお供にもぴったり。

セロリの葉とキクラゲ、豚挽肉の炒め煮

  • セロリの葉 2本分
  • キクラゲ 50g
  • 豚挽肉 100g
  • 生姜 1片
  • 胡麻油 適宜
  • 塩 適宜
  • 胡椒・適宜
  • だし醤油 適宜
  • 白すり胡麻 適宜

セロリの葉は細かく刻み、キクラゲはひと口大の大きさに。胡麻油を火にかけ、生姜と挽肉を炒める。挽肉に十分火が入ったらセロリの葉、セロリにも火が入ったらキクラゲを加え、塩・胡椒、だし醤油で味を調える。仕上げにすった白胡麻をたっぷり加える。


意外なスパイス遣い、調味料遣いで世界が広がる

この日は、フェンネルの香り鮮やかな「紫キャベツのザワークラウト風」や胡麻油を効かせた「キノコのナムル」、ローズマリーとタイム、バジルが香るレモン風味の「キャロット・ラぺ」などがカレーのお供に。そしておつまみには、胡麻の風味が芳しい「生わかめの炒め煮」、「お豆のガーリックオイル漬」、「かまぼこのカプレーゼ」が登場。
「大根やかぶは、新鮮なものであれば皮も葉もすべておいしく食べられます。人参に至っては、一般的なお店に並んだものですでに皮を洗い剥きした状態なので、そのまま料理して大丈夫です。安く大量に手に入るのが、旬野菜のいいところ。大量消費のために、ついつい同じ味付けの料理を大量に作りがちですが、サラダやピクルス、炒め煮などの調理法も、スパイスや調味料で全く異なる味わいになります。キッチンに並ぶスパイスたちも、カレーやイタリアン、中華にしか使わないのはもったいない。いろいろ試して、新しい味わいの扉を開けてみてください」

▼ワインとインドカレーの店 のんきぃ
宮城県仙台市青葉区一番町1-5-31 MIGNON一番町1F-A【Googlemap
022-267-2889
12:00~14:00LO、18:00~23:00LO
※1月~3月末はランチ休業
日・月曜、祝日定休
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