牛の快適さが作り出す、おいしい牛乳とヨーグルトの話
ゼルコバドリーム 村上牧場
快適じゃなくちゃ、モッタイナイ
雄大な自然が自慢の蔵王山ろくに牛舎を構える「ゼルコバドリーム 村上牧場」。始まりは、1962年の1頭の乳牛から。現在は乳牛の快適性を追求した飼養管理=トータルカウコンフォートを基本に、150頭の乳牛を飼育しています。
このトータルカウコンフォートとは、牛たちが毎日を過ごすベッドを常に清潔に保ち、いつでもきれいな水が飲めて、牛が好きなだけ食べられる環境を作り、牛自身のリズムで生活させてあげること。ゼルコバドリームでは、牛が常に牛舎で快適な生活が送れるようにしており、このアイデアは農林水産大臣賞を受賞しました。
エサのせいで味が落ちたらモッタイナイ
牛たちにあげるエサも、自家製。牧場敷地内で育てたトウモロコシをまるごと1cmくらいにカットして発酵させて「コーンサイレージ」にします。そしてトウモロコシを刈った後の畑にはライ麦を撒いて、冬の間にグッと栄養を貯め込ませ、春に収穫。ライ麦もすぐに「牧場サイレージ」となり、牛たちの大事なエサになるのです。その理由について、「ゼルコバドリーム」の村上利雄さんは「自分たちで作らないと、どうしても輸入飼料に頼ることになってしまう。そうすると、為替の影響を受けてしまいます。そして、エサの価格を安くしようとして食品残さを使うと、牛乳の味が落ちてしまうんです。牛は、本来草を食べる生き物。人間の都合で勝手なエサをやってはいけないと私は思っています」と話してくれました。
おいしいものを丁寧に作ることで減らせる“モッタイナイ”
「ゼルコバドリーム」では、搾乳時にもこだわりが。それは、牛の乳頭の清掃にはタオルを使うのではなく、1頭ごとに新しいペーパータオルを使うこと(ちなみに使用後のペーパータオルは、たい肥に混ぜて再利用しています)。さらには、牛の乳房ひとつひとつを目で見て、触って、生乳の成分を調べて…という念の入れよう。もちろん、手には手袋、工程ごとに手を殺菌して、衛生管理を徹底。そして、搾られた生乳はすぐに冷却タンクへ送られます。
このように、快適な環境の中で生産されるフレッシュな生乳を、「ゼルコバドリーム」では2017年からヨーグルトに加工し始めました。搾られてからわずか30分ほどで工房へ運び込み、じっくりゆっくり発酵させる、とにかく新鮮なヨーグルトは、もっちりしたテクスチャー。まるで生クリームを食べているかのように濃厚で、ナチュラルな甘味も感じられます。「おかげさまで、うちのヨーグルトは売り場で余って引き上げる…ということがほとんどないんです。おいしいものを丁寧に作ることで、食品ロスや“モッタイナイ”を減らすことができるのではないでしょうか」。
「今後は、チーズ作りなどにも挑戦したい」と話す村上さん。「ゼルコバドリーム」の夢はまだまだ続きます。