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6年間愛用したランドセルを廃棄から救う!「メモリアルランドセル」という選択肢
小学生の通学かばんとして、子どもたちが毎日使用するランドセル。しかし小学校を卒業してしまうと、使う機会はほとんどなくなってしまいます。毎日使った愛着のあるランドセルだけに、お別れしてしまうのは忍びない、とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方におすすめなのが、使い終わったランドセルを小さなランドセルにリメイクする、という選択肢です。これなら、ランドセルをわずかなスペースで手元に置いておくことができ、部屋に飾ったり、小物入れとして再利用することもできます。
今回は、1936年からカバン店を営み、現在はバッグのオーダーメイド、修理、リメイク等を行っている株式会社タイコヤの渡部暁斗店長に、ランドセルリメイクの経緯や作り方、さらに革製品を長持ちさせるコツなどを教えていただきました。
―――タイコヤさんでランドセルを小さくリメイクする取り組みはいつから行っていますか?
渡部さん
「現在の社長が平成に入ってすぐに始めたので、だいたい30年くらい前になります。全国でもかなり早くに取り組みを始めたと聞いています。」
―――始めたきっかけを教えてください。
渡部さん
「タイコヤは現在カバン、バッグ、財布のオーダーメイドやリメイク、修理を行っていますが、元々はバッグの小売りをしていました。その際にお客様から『孫が使い終わったランドセルを思い出の品としてよみがえらせることはできないか』と相談があり、ランドセルを小さく作り直した、というのが始まりだったようです。そこからクチコミで依頼が増えていきました。」
―――どのくらい小さくリメイクされるのですか?
渡部さん
「うちでは『メモリアルランドセル』と呼んでいるのですが、実物の約1/4サイズにリメイクします。
製作の手順としては、まず始めにランドセルをすべて分解します。それからかぶせやベルト、背当てなど各部を1/4サイズに切り取って、すべて組み立て直し縫い合わせて完成です。各部を切り出す時には、傷があるところやシールが貼ってあるところ、刺繍があるところなど、持ち主の思い出があるような特徴的な部分を残すようにしています。」
―――すごく精巧なつくりですね!手に取ると構造もしっかりしています。
渡部さん
「鋲やナスカン、内部の芯材や内張なども全部お持ち込みいただいたランドセルのものを使います。他の材料は錠前くらいですね。傷みがひどい場合は使えないこともありますが、できるだけ元のランドセルの素材を使用するようにしています。」
―――「メモリアルランドセル」は本革でも合皮でも作れますか?
渡部さん
「はい、基本的には本革でも合皮でも『メモリアルランドセル』にすることができます。ほかにも、たとえばキーケースやパスケースに加工したりすることも、たまにやりますね。ただ6年間使った革なので、財布など折り曲げて使う製品にするのは、耐久性の問題であまりおすすめしていません。もし作るとしたら、表面だけランドセルの素材を使って、中身は新しい革を使うことをご提案しています。」
―――どのような方が依頼にこられますか?
渡部さん
「やはり小学校を卒業されたお子さんを持つご両親や、祖父母の方々が多いです。仕上がった『メモリアルランドセル』をお渡しすると“この傷はあの時の傷だね”など、1つ1つの部分を見て記憶を思い出してくださいます。」
―――「メモリアルランドセル」の製造をお願いする場合は、どれくらい時間がかかりますか?
渡部さん
「混み具合によって変わるのですが、依頼を受けてからだいたい1ヶ月から半年後にお渡ししています。今は(※2025年2月現在)バッグ修理等の依頼が多く入っており、半年ほどお待ちいただいています。『メモリアルランドセル』は、別途有料になりますがアクリルのクリアケースに入れてお渡しすることもできます。」
―――バッグの修理の話が出ましたが、修理の需要が増えているのですか?
渡部さん
「そうですね、同じものを長く使いたいという方が増えているように感じます。初任給で買ったバッグや、両親、祖父母から譲り受けたバッグを直したい、という方が多いですね。革は長く使えるものですけど、手入れしないと劣化してしまうので、押し入れにずっとしまっていたものを直してほしい、という依頼もよくあります。」
―――大切にしまっているよりも、使っている方が長持ちするのですね。より革製品を長持ちさせるには、どんなお手入れが必要ですか?
渡部さん
「お手入れをする際は、はじめにブラッシングでホコリを落とした後、メンテナンスオイルで油分を足してあげたり、油が飛ぶのを防ぐためにワックスを塗ったりします。革の油分がなくなる前にお手入れするのがおすすめです。」
お手入れをすることで、革の経年変化も楽しみながら、長く大切に使うことができます。ランドセルリメイクもバッグの修理も、タイコヤさんはサステナブルな時代の流れに沿った取り組みをされていることが分かりました。

タイコヤオリジナルの革製品も販売しています。写真は、長年のオーダーメイドや修理の経験から、
職人の「こうだったらいいのに」を凝縮したコンパクトな長財布「Kagari」(税込22,000円~/画像左)と、
2つ折財布「Epica」(税込17,600円/画像右)。いずれも受注生産で販売しています。
取材協力
株式会社タイコヤ
仙台市青葉区中央1-8-23 2階奥
電話 022-261-2355