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学校給食の残食がきっかけに。小学生が食品ロス削減に向けて情報発信!

小学校の学習活動のひとつに「総合的学習の時間(総合学習)」があります。児童が探求的な見方・考え方をはたらかせ、横断的・総合的な学習を通して課題を解決すること、新しい価値を築くことなどを目的に行われるものです。2023年度、仙台市立南光台東小学校の3年生たちは、この総合学習の時間に「食品ロス」について学びました。

学習の始まりは、普段の学校生活で目にしている給食の食べ残しがきっかけでした。そこから児童の意見が主体となって、給食センターの職員や農業に従事する方、ごみ減量の啓発に携わる仙台市職員に話を聞く場が設けられ、給食の食べ残しが「食品ロス」であること、食品ロスが世界的にも大きな問題になっていることを学習しました。

その後児童たちは、1人1人が食品ロスを減らすためにできることを考え、それぞれに食品ロスを減らす取組を実践しました。そして自分たちの学んだことや体験したことをプレゼン資料にまとめ、1年間の学びの仕上げとして保護者を招待して学習発表会を開き、自ら取り組んだ内容の発表と食品ロスを削減するための情報発信を行いました。

どの発表も食品ロス問題をよく把握していて、「食品ロスを減らしたい」「私たちと一緒に食品ロスを減らしましょう」という思いにあふれるものばかり!その児童たちの思いは自らの行動にも表れ、食品ロスを学ぶようになってから3年生の給食の食べ残しがどんどん減っていったそうです。

今回は学習発表会で発表された一部をご紹介するとともに、総合学習を通して大きく成長した児童たちの様子についてお伝えします。

今回、食品ロス削減に関する取組を発表してくれた南光台東小学校3年生(2024年3月現在)の7名

食品ロス削減に貢献!児童の取組の一部をご紹介します

新妻さんが取り組んだリボーンベジタブルのプレゼン資料。豆苗や小ねぎを再生させた様子を紹介しました。

新妻大さんが取り組んだのは、リボーンベジタブル。野菜の根など普段捨てられてしまう部分を利用して野菜を再生させる方法です。さまざまな野菜を育てた結果、豆苗は3~4週間、小ねぎは2~3週間、小松菜は4~5週間で収穫できました。一方、キャベツやレタスなども挑戦しましたがあまり育たず、育てやすい野菜・育てにくい野菜があることが分かりました。

リボーンベジタブルに挑戦した二木さんのプレゼンでは、育て方やよく育つコツを紹介しました。

リボーンベジタブルを生活の中に取り入れていたおばあちゃんに教わりながら挑戦したのが、二木葵さんです。育て方のポイントとして、栽培中の野菜は家の中でも明るい窓際に置くこと、水は1日1回取り替え、腐敗を減らすため水の量は少なくすることなどを挙げました。またきゅうりなどの根や葉がない野菜やスプラウト類は再生されないことも紹介しました。

村田さんは、自宅で余りがちなバナナ、りんご、さつまいもを使いきるレシピを紹介しました。

知り合いの果物屋さんからもらった果物を余らせてしまった経験を持つ村田瑞輝さんは、自宅で余りがちなバナナ、りんご、さつまいもを使う料理を作りました。古くなったりんごは、同じく余りがちなさつまいもと一緒に煮るとおいしく食べきることができます。また皮が黒くなったバナナをホットケーキミックスなどと混ぜて作るバナナケーキのレシピを紹介しました。

福嶋さんは、大根の葉や皮が黒くなったバナナなどを使った料理を、自ら調理した様子とともに紹介しました。

自宅では、食感が悪くなったものは早めに食べきる工夫をしているという福嶋桃香さん。その経験の中から、余りがちな食材で作るレシピを教えてくれました。たとえば大根(かぶ)の葉で作るふりかけや、バナナスムージー、りんごジャムなどです。レシピはインターネットからでも検索できることを紹介し、余った食材は積極的に調理して、少しでも食品ロスを減らすよう呼びかけました。

小野さんは、生鮮食材などを冷凍保存して食品ロスを減らす工夫を紹介しました。

小野歩実さんが着目したのは、生鮮食材などの冷凍です。冷凍すると食材が長持ちして食べられる期間が延びるので、食品ロスを減らすことができると考えました。実際に生鮮食材を冷凍してみて、冷凍に向く食材・向かない食材があることを確認。またきのこは栄養価が高くなるなど、冷凍するからこそのメリットがあることも紹介しました。

亀井さんは野菜やきのこ、ご飯の冷凍保存方法、冷凍後の味や食感、冷凍食材を使用した料理を紹介しました。

亀井みうさんも食材を冷凍すると、食材が長持ちして食品ロスが減らせることを実感しました。また冷凍した食材を実際に試食してみました。トマトは味が濃くなってソースやスープ向きに。にんじんは甘くなり、スープやカレー、炒め物に向いていると感じました。一方、白菜は少し苦みを感じたそうです。ご飯は味や食感が変わらずいろいろなアレンジができることを紹介しました。

金さんは自宅で行った食品ロスダイアリーの記録を紹介。記録を続けると日に日に食品ロスが減っていきました。

金奈希さんは、家庭で廃棄する未使用の食品や食べ残しを記録する「食品ロスダイアリー」に挑戦。開始当初の食品ロスは1週間で約200g、その後最大で750gになりましたが、食べ残しを減らすよう意識したところ食品ロスがどんどん減り、最後は15gまで減りました。ダイアリーをつけることで、「食品ロスを減らしたい」という気持ちを持つことが大切だと気づいた金さんです。

担当の先生も児童たちの成長ぶりに驚きました!

一人ひとりが食品ロス問題を自分ごととして捉え、自ら実践できることや周囲に伝えたいことをしっかりまとめ表現してくれた3年生の皆さん。総合学習の時間を受け持った3年生担任の菅原英祐先生も「子どもたちの意欲や成長ぶりにとても驚いた」と話します。

「発表会では保護者の皆様から大好評をいただき、子どもたちも大きな達成感を味わいました」と菅原先生。

「給食の残食を減らそうと考えた子どもたちは、自分たちからこの問題に関わる方々に電話をかけて学校にお招きして話を聞きました。話を聞いた後は、一人ひとりがテーマを膨らませ食品ロスを減らす取組を個別に考えて実践したり、そのテーマについてより深く調べたりするようになりました。またプレゼン資料を作るパソコンスキルや、互いの発表を聞き合って質疑応答する技能なども身につきました。こうした学習を通して子どもたちに“食品ロスを減らしたい”という意識が根付いて、学習の原点だった給食の残食を減らすことができたのも大きかったです。3年生は初めて総合学習に取り組みましたが、みんな主体的に考え行動し、たくさんのことを吸収し身につけました。私自身、探求のきっかけがあれば子どもたちはどんどん成長していくんだなと実感した1年になりました」。

 総合学習を通して食品ロス問題を知り、食品ロス削減に向けてアクションを起こした児童の皆さん。未来を担う子どもたちに宿ったサステナブルな意識と行動が、彼らが大人になった社会をより良いものにしていくのかもしれません。